改訂新版 唯物論哲学入門
森 信成 著
定価1800円+税 ISBN4-7877-0311-0
四六判上製 248頁
新泉社刊

独力で世界観を得たい人のために
疎外論を駆使し、宗教的・政治的・経済的疎外とそれからの解放という、生活の根本にかかわる人間観、世界観の問題をわかりやすく説いた、定評あるロングセラー。
民主主義の問題、弁証法についての見事な考察が現代社会を鋭くえぐる。


■■■ 青木雄二氏 大絶賛!!! ■■■
(共同通信配信記事「心に残る一冊」)

 ……この世は自分の思い通りにならないと考える無力感は、やがて「社会に法則はなく、偶然の積み重ねが人間の歴史なのだ」という考えにつながりやすいのです。
 この無力感は一体どうして発生し、それは未来永劫に続くのか、変革することは可能か?bといった命題を分かりやすく説明してくれる一冊として森信成氏の「唯物論哲学入門」を挙げたいと思います。
 人々が不運に見舞われた時に、無力感にとらわれてしまうのは、「社会に法則性がある」という考えを義務教育で教えられなかった以上、当然です。……
 「ひとつ、哲学を独学で勉強してやろう」と思われる方には最良の一冊だと思われます。

■■■ 山本晴義氏 推薦のことば ■■■
(本書「解説」より)

この本に人々が人間的な共感をもち、人々がこの本から正しく生きていくための確信を得るのは、このような「マルクス・ルネッサンス」の時期に、また世界の社会主義運動のの地平が、スターリン主義から大きく転換していく中で、懸命に思索し、学生や大衆とともに闘っていこうとする森さんの“純粋さ”のゆえにほかならないと思う。

■■■ 書評・紹介記事 ■■■

● 共同通信配信記事「名著、待望の復刊」
 森信成著「唯物論哲学入門」(新泉社)がこのほど復刊された。
 同書は1971年に死去した哲学者、森信成氏が死の直前に行った講座をもとに72年初版が刊行された。学生を中心に読み継がれロングセラーとなったが、ソ連崩壊や左翼の退潮などでここ数年は品切れ状態だった。
 昨年、本紙文化面に連載されたコラム「心に残る一冊」で、漫画「ナニワ金融道」の故青木雄二氏が取り上げたことがきっかけで版元に問い合わせが相次ぎ、改訂新版が刊行された。

●「アサート」No.315(2004年2月)
 懐かしくもあり、また新しくもある書物が再刊されました。哲学者森信成先生の『改訂新版 唯物論哲学入門』(新泉社 \1800)です。……既に大阪梅田の紀伊國屋に平積みにされているとの情報。早速、機会を見て探してみると、哲学のコーナーに、5冊積み上げて置いてありまして、記念にと1冊購入しました。(1972年出版本は持っているのに。)
 あとがきには、山本晴義先生の書き下ろしの新しい解説も添えられています。……読者諸氏の中には、学生時代に本書をスタートに唯物論の扉を開いた方も多いはずであり、平易な語り口で唯物論を解明し、弁証法・疎外論もに理解を深めることができましたね。
 昨年亡くなったが『ナニワ金融道』の漫画作者として有名になった青木雄二氏が世界観の確立のための最良の1冊として本書を紹介されたことがきっかけとなって、再版となった経過を山本先生は解説で触れられています。……解説の中では、森先生が1960年代、学生や労働者の中に唯物論を広げる活動を精力的に積極的に進められ、学生唯物論研究会の結成や、民主主義学生同盟の結成にも深く関わられたことも紹介されています。また、年譜も整理されて掲載されています。この再刊を契機に、森哲学の再評価などを行う必要があるのではないか、と思っております。 (佐野秀夫氏)
http://www.assert.jp/data/2004/31501.htm

●「アサート」No.317(2004年4月)
 1972年に発刊された本書が、32年ぶりに再刊されることになった。そのきっかけが、漫画家・青木雄二が共同通信に書いた、「心に残る一冊」という記事であったことは、本書の内容を象徴している。青木雄二と言えば、『ナニワ金融道』シリーズで、金融界=資本主義体制の内幕、その非道性、残酷性(アコギさ、アクドさ)を、「借金」という庶民の日常的現実に即して描いてきた骨のある漫画家であったが、その彼が「絶賛」したというのは、恐らく「唯物論か観念論か」という「哲学の根本問題」と、ここから発する「疎外bb神、国家、資本」についての単純明快な説明によってであろうと推察される。これらの説明は、かつて著者の最も得意とするところであったし、それだけに本書のもととなった当時の講演においても熱の入ったところであった。……
 著者の立場は、「哲学の根本問題」から社会主義の展望にいたるまで一貫しているわけであるが、……今日の運動の現状とはかなりズレがある。ただ著者が指摘・批判する疎外の現実bb神(宗教)、国家、資本bbについては、的を射たものがあることは確かである。それは、悪徳宗教に憤り、国家権力の横暴さに拳を振り上げ、解雇の不安に耐えつつ、資本の非情さとアクドさに怒る庶民の気持ちに通じるものである。著者の時代においては未来の光であった「社会主義」への展望の確信が持ち得ない現在ではあるが、庶民の不満と怒りが社会変革への熱となり共生への意思となるような運動の構築が求められている。このための教訓を汲み取ることが、本書再刊の意義であるように思われる。なお山本晴義氏の解説も、かつての民科、日本唯研での経験を踏まえて、興味深いものとなっている。 (R)
http://www.assert.jp/data/2004/31701.htm

∨共同通信配信記事より

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