2008.06.03..up





雲母書房 5月の新刊              

風の音の−墓から自然葬へ
喜多村蔦枝/著

四六版上製 232頁 定価1,600円+税
ISBN978-4-87672-250-1 C0036


『風の音の』を出版するにあたって
 喜多村蔦枝


 お墓は大事なものです。なんとなく、そう思って生きてきました。
 一昨年、夫が他界しました。婚家の墓に入れるつもりでした。夫は4人きょうだいですが、妹3人はみな結婚して姓が変わっています。妹のうち2人は後妻の子です。先妻の子と後妻との間に養子縁組はありません。婚家の墓は後妻名義になっていました。
 伴侶の死の悲しみにくれながら、お墓をどうしたらよいかと悩みました。骨壺の前で、毎日夫の死生観、宗教観を回想しました。
 近くの霊園を見学しました。
 今までお参りしたことのある色々なお墓を思い出しました。人はみな、亡き人の霊魂がお墓に宿っていると考えるのかもしれません。特に日本人は。
 しかし私には、現在のお墓は骨壺の倉庫ではないかと思えたのでした。土には還りません。不自然だなあという素朴な疑問が湧きました。
 夫が生きているうちに、お墓について充分に話し合わなかったことを悔やみました。遺された私は迷路に入った気分でした。
 そうこうしているうちに、新聞で自然葬を知りました。骨を灰にして海や山へ散骨します。この方法が違法ではないことを確かめ、夫を自然に還すことに決めました。
 日本のしきたりは、人は死んだらお墓へ直行です。誰もそれを不思議に思いません。
 お墓から散骨へ至るまで、私は右往左往しました。でもそれは、ほんのちょっとした道草であったと最近になって思います。
 夫は自然に還りました。今では、雨につけ風につけ木々の緑や紅葉にさえも、夫の姿を偲ぶことが出来ます。お墓にわざわざ行く必要もありません。
 これは物語ではありません。夫の後始末を巡っての心の軌跡です。多くの方に読んでいただき、お墓や自然葬を考えるきっかけになればと思います。



【一面特集関連本】生と死を見つめる

ひびきあう生と死
日本ホスピス・在宅ケア研究会 飛騨高山大会/編
2,000円 978-4-87672-239-6

雲母書房


歎異抄の深淵 異義篇
武田定光
1,800円 978-4-87672-223-5

雲母書房


歎異抄の深淵 師訓篇
武田定光
1,800円 978-4-87672-195-5

雲母書房


「ことばの知恵」を超えて
高史明
2,800円 978-4-7877-9310-2

新泉社


葬送の自由と自然葬
葬送の自由をすすめる会/編
1,500円 978-4-7736-2406-9

凱風社


自然葬ハンドブック
葬送の自由をすすめる会/編
700円 978-4-7736-2904-0

凱風社


自然葬と世界の宗教
葬送の自由をすすめる会/編
2,200円 978-4-7736-3211-8

凱風社


死のコスモロジー
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2,400円 978-4-7736-2301-7

凱風社


わたしの死の物語
ハロルド・ブラドキー
1,500円 978-4-7736-2303-1

凱風社


四国八十八ヶ所ブラブラ旅
君塚みきお
1,400円 978-4-7554-0106-0

インパクト出版会


私はいつまで生きていてよいのか
上田薫
2,300円 978-4-7505-0432-2

亜紀書房


定年後は「般若心経」で悔いなく生きよう
松野宗純
1,500円 978-4-7505-0015-7

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