2007.08.20.up

七つ森書館

 

ワーキングプアの反撃
雨宮処凛×福島みずほ
定価1,300円+税
A5判 並製 152ページ
ISBN978-4-8228-0745-0



ワーキングプアとプレカリアート

 6月下旬の新刊です。

 配本と同時に重版を決めました。発売前からファクス情報などで書店さんからの事前注文が相次ぎ、大型チェーン店さんでも注文をまとめていただいたお陰です。みなさまありがとうございました。

 雨宮さんは『生きさせろ!──難民化する若者たち』
(太田出版)が広く読まれていますが、“ニート”“ひきこもり”“ワーキングプア”などの問題に積極的に発言する、最も注目される作家のお一人といっても過言ではないでしょう。

 福島さんは、“社民党党首”です。党首といっても固いイメージからはほど遠く、キャピキャピした(?)明るい発言を、機関銃のように繰り出す政治家です。

 この対談は、福島さんが雨宮さんにプロポーズして始まりました。4月上旬に対談することが決まり、23日から5月2日までに3回の対談をこなしましたが、30日の“自由と生存のメーデー07”にはお二人とも参加していました。

 この日はメーデー宣言集会で、たくさんの宣言が読み上げられましたが、なかでも本書に収録した「プレカリアートの反攻」
(菅本翔吾)は共感を呼びました。昨年のデモでは3人もの逮捕者が出るほどの弾圧を受けたので、デモ出発の時はみな緊張していました。すると、福島さんが「私、弁護士なんですぅ」と、先頭集団に加わり最後まで2時間にわたるデモを歩いたのです。数々のパフォーマンスがありましたが、デモは一人の逮捕者もなく大盛況で終了しました。

 さて、わずか10日の間に対談が行われましたので、編集作業も急ピッチで進めて、6月26日の取次搬入となったのでした。対談開始からわずか2カ月での発売です。

 そして、27日には出版記念トークセッションを東京・お茶の水の総評会館で開催しました。司会は佐高信さん。対談の終わりに「ただの出版記念会じゃなくて、若い人が参加しやすくて、ビールやジュースを飲みながら、おつまみもあるといいね。参加費も安くしてね」と言う話で盛り上がったのを受けての企画です。

 小社の若手スタッフの発案で、会場内の机を4〜6台寄せ集めて周りをイスで囲む形式になりました。ちょっとしたパーティーの雰囲気です。なかなか良い雰囲気の会場設営ができた、と自賛した次第です。

 で、トークセッションの最初に、グッドウィル・ユニオンの委員長からピンハネ問題の報告があったり、フリーター全般労組の執行委員の発言があったりで、あっという間に2時間が過ぎ去りました。180人もの方のご参加を得て、よかった、よかった、とホッとしたのですが、出席者の中に朝日新聞コラムニストの早野透さんがいました。会の後で氏が「タイトルに“プレカリアート”を使えなかったの?」とおっしゃる。「新聞ではどうですか」と聞くと、「みんなが使うようにならないと、新聞の見出しでは使えない」とのことです。心のなかでは(それって逆ですよぉ。新聞に出ていないと、本のタイトルに使えませんよぉ。検討しましたけど、「それって冒険ですよね」って雨宮さんも言ってたし……)と思いつつ、「そうですね」と相づちを打ってしまいました。

 みなさん、どう思われますか?

 言いおくれましたが、プレカリアート(英precariat、伊precariato)は、不安定な(英precarious、伊precario)プロレタリアートという造語で、新自由主義の中で、世界的に不安定化し貧困化する若者の立場をあらわしています。ですので、本書の帯には「貧乏なのも、生きづらいのも、けっしてあなたのせいではない!」と印刷したのです。
(文責・中里英章)

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