2004.11.05.up

※ドイツ語の Revolution と日本語の「革命」とでは、本来、意味がかなり異なる。そのためもあって、本訳書の書名を『レボルツィオーン』としたのである。「革命」は中国語から来た言葉で、文字通り、天によって「命(めい)」が「革(あらた)」まることである。天によるものだし、命=定めの問題である。Revolution は─―英語の revolution 、フランス語の reolution なども同じだが―─、ラテン語の revolve から来た言葉で、「転がって元にもどる」ことである。人間によるものだし、復元の意味が含まれている。したがって、レボルツィオーンと「再生」は、本来、近いものなのである(訳者)

■ 分権・連合・協同社会の原像 ■
■ 現代に甦るランダウアーの社会思想 ■
  
同時代社
  『レボルツィオーン ─再生の歴史哲学』
  グスタフ・ランダウアー[著] 大窪一志[訳]
  定価2900円+税

いま、全世界的な規模で分権・連合・協同社会への胎動が始まっている。それは、まだ定かな組織形態をとって実体化されているとはいえないが、そこへ向かっての動きが、斑状にではあるけれども、多様な形で始まっているのを見ることができる。

資本も労働も国境を越えてボーダレス化し、一方においては多国籍企業への上昇、他方においてはベンチャー・エンタプライズへの下降という両様の形で企業形態が変化して、これもボーダレス化し、これまでのように国民経済という形で国民国家レベルで経済を統括していくことがあまり意味をもたなくなりつつある。そして、それより大きな規模でのユニットとともに、より小さな規模での集約がより現実的なものとなってきている。

社会単位が連合し、協同の関係を形成していく、ボランタリー・アソシエーションの連合という動きもさまざまな形で出てきている。だが、その中から創り出されていく分権・連合・協同社会のイメージは、まだいまひとつ明確ではない。近代の終焉だとか、ポストモダンだとか、いろいろといわれながら、像が結ばない。確かに、プルードンの「連合の原理」、クロポトキンの「相互扶助の原理」、あるいはマルクスの「連合した生産者の社会」などは、原理としてはそれぞれ魅力的で説得力があるが、それらが鮮明なイメージを結ばないのは、そのような社会の精神的基盤が語られていないからではないか。

その精神的基盤は、近代精神とはちがったものになるにちがいないのである。近代の個人主義、自由主義、平等主義、民主主義、ヒューマニズム、それらの発展として来るべき社会の精神を考えることはできないのだ。だが、近代精神の精華たる「個の自由」を捨て去ることはできないだろう。だとするなら、個の自由の上に、近代精神とは別のどんな精神を培養していくのか。ランダウアーは、この問題に答えようとしたのだ。〈大窪一志/訳者解説より〉

関連書

相互扶助論
ピョートル・クロポトキン/著 大杉 栄/訳
同時代社 本体2,913円+税

増補新訳 資本蓄積論
ローザ・ルクセンブルク/著 太田哲男/訳
同時代社 本体2,900円+税

マルクスとアソシエーション
田畑 稔
新泉社 本体2,500円+税

マルクスと哲学
田畑 稔
新泉社 本体4,500円+税

アソシエーション革命へ
田畑 稔ほか/編著
社会評論社 本体2,800円+税

ヴィジョンと現実 グローバル主義への架橋
武藤一羊
インパクト出版会 本体1,800円+税

〈じゃなかしゃば〉の哲学
ジェンダー・エスニシティー・エコロジー
花崎皋平
インパクト出版会 本体1,900円+税

世界変革の政治哲学
ミシェル・レヴィ/著、山本博史/訳
柘植書房新社 本体3,800円+税

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